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新中野に住む人々の胃袋をつかむ、こだわりのうどん屋「讃岐のおうどん花は咲く」

2018年02月21日水曜日

新宿駅から、東京メトロ丸の内線で約6分。
昔ながらの商店街や年季の入ったお店が並ぶ光景は、アクセスの良さや、一人暮らしのビジネスマンが多いというイメージに、少し意外性を感じさせる。
そんな、どこか懐かしさの残る街「新中野」で、4年前にその暖簾を掲げた「讃岐のおうどん花は咲く」。オーナーであるうどんシェフ、相方芳彦（さかたよしひこ）さんにお話を伺った。

実力派讃岐うどん、新中野に現る

新中野駅を背に北へ歩くこと数分、Y字路に挟まれるようにしてぽつんと佇むお店「讃岐のおうどん花は咲く」。扉を開けると、「いらっしゃいませ！」店員さんたちの元気な挨拶が迎えてくれた。
お店の舵を取るのは、オーナーの相方さん。開店からわずか3年にして、日本一おいしいうどんを決める大会「うどん天下一決定戦」に東京代表として出場し、関東1位（全国2位）の座を獲得するほどの実力の持ち主だ。
東京で初めて食べた讃岐うどんの美味しさに衝撃を受け、自分も一杯で人を感動させるうどんが作りたいと、現在のお店をオープンさせたのだそう。それまでは20年ほどリサイクル業を営んでいて、讃岐うどんの感動体験から約半年でお店を開いたというのだから驚きだ。「今って、世の中元気ないじゃないですか？日本の人たちが、食べて元気がでるような、笑顔になれるような、そんな料理を作りたかったんです。」

新中野について「あったかい街です。なんと言っても人が良い。」と話す相方さん。
相方さん自身、20年近く新中野の周辺に住んでいることもあって、この街での開業を決めたのだそうだ。
青梅街道に沿って味のある商店街が連なる、人情あふれる街、新中野。
住民から「なべよこ」と親しまれる鍋屋横丁では、スーパー、薬局、老舗のお菓子屋さんなどさまざまなお店が並んでいる。最近では、相方さん率いる「讃岐のおうどん花は咲く」をはじめ個人経営の飲食店も増えてきているようで、街としての新たな魅力も感じられる。

うどんを、科学的に作る

「讃岐のおうどん花は咲く」のうどんへのこだわりは、まず食材選び。麺は全国から厳選した小麦をブレンドし、よく伸びる柔らかい麺に。トッピングの食材はもちろん、ダシにつかう昆布やいりこにも、添加物は入れていない。
また、お店の一番人気「極上肉うどん」は、一杯1,600円と少し高値ですが、これに使われている牛肉は、原価率が危うくなるほど上質なもの。単価が高い分、上質で安全な食材を使うことで、お客さんに「満足」を提供したいという想いが込められている。

「もうひとつのこだわりは、レシピを数値化することです。」と相方さん。
ダシ作りひとつをとっても、水の量、塩水の濃度、温度、沸騰時間、すべて正確に決めており、少しでも数値とズレたら初めからやり直し、という驚きの徹底ぶり。
職人の世界でいう「感覚」よりも、確実に美味しい味を出す基準があるはずだと考えたからなのだそう。
「まあ、自己満足の域なんですけどね。それでもより多くのお客さんに美味しいと思ってもらいたくて。」

写真に収めたくなるうどんの数々

また「讃岐のおうどん花は咲く」のうどんといえば、一杯の量の多さと、盛り付けにも注目したいところだ。
どんなに美味しい料理でも、量が少ないとなんだか物足りなく感じるもの。味だけでなく量でも満たされてほしいという考えから、通常より、少し多めに作っているのだそうだ。

そして、メニューの写真ひとつひとつをじっくり眺めたくなる、素敵な盛り付け。「うどんって、大衆的なイメージがあるじゃないですか。ちゃんと料理にしてあげることで、うどんのハードルを高くしたいんです。そのためには見栄えにも気を遣わないと。」と相方さん。
麺が見えなくなるほどに敷き詰められたお肉や、高く盛られた天ぷら。彩り豊かなどんぶりが、特に女性の目を惹きつけているようだ。

日本中のひとに元気と幸せを届けたい。

いつか全国に店舗を展開できたらと話す相方さん。「うちは1日200人のお客さんが来るんですが、全国に200店舗つくれば、うどんだけで1日4万人のひとを幸せにできる。」
まずは味で満足させること。そして、店内を楽しく明るくすること。売上があがるから楽しいのではなく、楽しいからお客さんも満足して売上があがる。そんな、お客さんが元気になる場所を、たくさん作っていきたい。相方さんが当初から抱いていた志は、「讃岐のおうどん花は咲く」というお店に、料理に、しっかりと投影されているのだと感じた。