Mansion Tech Magazine

その保険は本当に必要か?人が“無駄な保険”に入ってしまう理由。

2018年09月06日木曜日

生命保険文化センターの「平成25年度・生活保障に関する調査」によれば、民間の生命保険会社や郵便局、JA(農協)、生協・全労済などで取り扱う生命保険や共済(個人年金保険、団体保険、財形は除く)の加入率は、全体の平均で約80%程度。ほとんどの日本人が生命保険に加入していることになる。また日本人が生命保険に費やしている負担は、先進国の中でも突出した金額だという。私たちが、なぜこれ程までに生命保険を重要視するのかについて、今回は考えてみたい。

国民の約8割が、生命保険に加入。

先述の「平成25年度・生活保障に関する調査」をより詳しく見てみると、年代別では20代の内は男性が52.4%、女性が56.8%と、まだ未加入の人も多い。しかし30代になると、男性は84.1%、女性は78.5%まで急増。その後40歳を超えても依然として加入率は下がらず、男女ともに80%を超えている。 なぜ生命保険に加入するのかというと、それは遺された家族を守るため。生涯独身であったり子どもを設けない人も増えている中、今なお8割もの人が生命保険に加入しているというのは、どこか違和感を覚えないだろうか。

アメリカの約2倍もの生命保険を掛けている日本人。

日本における生命保険業界の市場規模は、世界でも有数だという。テレビや新聞などでも、生命保険の広告が毎日のように目に入る。国民所得に対する死亡保障額の割合を比較したデータでは、ドイツが0.82倍、イギリスが1.23倍、そしてアメリカは2.02倍。では日本はというと、なんと5.49倍。日本人はアメリカの約2倍の生命保険を掛けていることになるが、アメリカよりも生活保障が充実している日本で、所得の5倍以上もの死亡保障が本当に必要なのだろうか?

人はなぜ、生命保険に入ろうとするのか。

先程もの述べたように、生命保険とは遺された家族のために加入するもの。しかし国民の8割もの人が加入していることには、他にも理由があるように思う。 まず考えられるのは、「道徳的インセンティブ」。人は金銭的インセンティブだけでなく、道徳的、社会的なインセンティブなど、多様なインセンティブに影響を受けるとされている。生命保険に入るということは、一家の大黒柱の役目という道徳的インセンティブが働いているのではないだろうか。 また「一度入った生命保険は解約したくない」と考える方もいることと思うが、そこには「サンクコスト効果」というものが働いている。保険金を受け取る前に解約するとなると、せっかく払い続けてきた保険料が回収できず無駄になってしまう。それを認めることができず、結局その後も支払い続けてしまうのだ。 自らに万一のことがあった時、遺された家族を守ってくれるはずの生命保険。しかし、しっかりと考えた上で加入しないと、合理的ではない選択となってしまうことも覚えておきたい。

google
twitter
facebook

CONTACT 投資のご相談