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年金制度破綻の可能性

2018年02月21日水曜日

今回のテーマは「年金破綻の可能性」。
年金制度の将来については悲観的な予測が多く見受けられ、「いずれ破綻するのではないか」といった意見も。たしかに社会は少子高齢化の一途を辿っており、今後に対する不安は増すばかりだ。では公的年金は、本当に破綻へと向かってしまうのだろうか?その可能性を、厚生労働省による検証結果から探っていきたい。

年金の未来を見通す、厚労省「財政検証」。

厚生労働省では5年に1度「財政検証」を行い、概ね100年にわたる公的年金財政の見通しを立てている。この検証の中では、公的年金の給付水準となる「所得代替率」が示されている。「所得代替率」とは、年金を受け取り始める65歳における年金額を、現役男子の手取り収入額(ボーナス込み)と比較した場合の割合を示すもの。例えば所得代替率60%の場合は、同時期に現役である世代の、手取り収入の6割を年金として受け取れることを表す。なお検証でモデルとされているのは、40年間企業で働き厚生年金に加入している夫と、専業主婦で国民年金を40年間納付している妻の夫婦世帯だ。

年金給付水準の予測、最悪のケースとは?

最新の平成26年版においては、年金の未来に関して8つのケースを想定。その中で今回は、労働力率が高まらず経済成長も実現しない、最悪の場合を想定した「ケースH」について見ていく。
平成26年度時点での所得代替率は、62.7%。そこから現役男子の手取り収入は徐々に伸びていくものの、一方で所得代替率は下落し、平成48年度には50%となってしまう。さらにその後、平成67年度には国民年金の積立金が底を突く。
そこからは、年金の財源となるのは保険料と国庫負担(税金)のみ。賄うことのできる給付水準は、所得代替率35〜37%にまで落ち込んでしまう。

年金は現在のところ、破綻しない見通しだが…。

このように最悪のケースを想定した場合でも、年金の支給は続けられている。年金制度がなくなるという意味においては、「破綻」の可能性はほぼないと言って良いだろう。
しかし支給額が減らされたり、支給開始年齢が引き上げられたりする可能性は高い。また8つの想定ケースの内、最も経済状況の良い「ケースA」でも、平成56年度には所得代替率が50.9%に下落している。現状と比較して、現役世代の所得に対する年金支給額の比率が低くなることは避けられない見通しだ。

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