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若年層には、インフレによるリスクが潜む「個人年金保険」。

2017年09月17日日曜日

「個人年金保険」は、所定の年齢から年金を受け取ることができる貯蓄型の保険だ。生命保険の一種ではあるものの、いわゆる死亡保障が目的の終身保険や定期保険といった生命保険とは異なる特徴をもっている。それは死亡保障の大きさだ。一般の生命保険は被保険者が死亡した際には、支払った保険料を大きく上回る保険金を受け取ることができる。一方で「個人年金保険」で受け取れるのは、それまでに支払った保険料相当額のみ。つまり基本的には、将来年金を受取るための積立ということになる。

預金よりも高い利率、所得控除も利用可能。

「個人年金」の最大のメリットは、定期預金に比べて高い利率が設定されている点、そして年末調整・確定申告において控除が受けられる点だろう。 また預貯金のように簡単に下ろせないことから、将来に備えるという点で優れているといえる。「個人年金」でも途中解約は可能だが、元本割れの可能性もあるため、容易に解約しようと思うこともないはずだ。

数十年先の為替変動によるリスクも覚悟。

一方でデメリットとしては、まず死亡保障として手薄という点が挙げられる。先述の通り「個人年金保険」の役割は、基本的には将来年金を受け取るための積立。支払期間中に加入者が死亡してしまった場合には、その時点までに支払った保険料相当額しか受け取ることができない。 また将来的に受け取れる金額が加入時から決まっている商品の場合には、インフレで損失を受けるリスクもある。「加入時に30歳で、60歳になった時に年間50万円を受け取れる」という契約であった場合、30年後に受け取ることができる金額は当然年間50万円。一方で例えば、年2%のインフレが30年間進んだとしたら、将来受け取る年金の価値は毎年2%ずつ下がっていくことに。30年後の50万円の価値は約28万円、40年後は23万円程度にまで下がってしまう。数年先のことならばある程度為替の予測を立てることもできるが、20年、30年先のこととなると、予想するのは難しい。若年層が「個人年金保険」を検討するには、リスクも鑑みる必要があるだろう。

単体では「家族のための投資」には不十分?

生命保険としては手薄、そして長期的に見るとインフレによる大きな損失のリスクもある「個人年金保険」。自らが死亡した場合に備える、という面から考えると、単体では十分とはいえないのではないだろうか。

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