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「年金カット法」成立。どうなる?年金のこれから

2018年02月21日水曜日

平成28年12月、「年金カット法」とも呼ばれる新たな法律が成立したことをご存知だろうか。「年金改革法」、正式名称は「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」。野党が強く反対する中、採決が強行されたこの法律の中身について、今回は見ていこう。

「年金改革法」、その概要とは。

この法律は公的年金制度の持続性を高めると共に、将来世代の給付水準を確保することなどを目的としたもので、具体的には5つの項目が盛り込まれている。

1.短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進
2.国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料の免除
3.年金額の改定ルールの見直し
4.年金積立金管理運用独立行政法人の組織等の見直し
5.日本年金機構の国庫納付規定の整備

この中で最も注目を集め議論の的となっていたのが、3の「年金額の改定ルールの見直し」だ。

年金額の改定ルール、どう変わる?

毎年見直しが行われ、物価と賃金の変動率を基準に、少しずつではあるが変動している年金額。これまでの制度では、賃金が下落した場合でもそれ以上に物価が上昇していれば、年金の給付額が下がることはなかった。
しかし今回の改革によって、例え物価が上昇していても、賃金の下げ幅が物価の上昇を上回った場合には給付額が下げられることに。物価が上がり生活に必要な費用がふくらんだとしても、反対に受給できる年金が減る可能性もあるという、高齢者にとっては厳しい内容となっている。

月1万円以上もの年金減額となる試算も。

では具体的に、どの程度の減額となるのか。まず民進党による試算では、これまでと比較して、10年間で5.2%減るという結果が。モデル世帯の年金額に当てはめると、国民年金で年間4万円(月3,300円)、厚生年金では年金14万2,000円(月1万1,800円)もの減額になるという。
一方で厚生労働省の試算では、民進党よりは緩やかであるものの、国民年金で年間2万4,000円(月2,000円)、厚生年金では年間8万4,000円(月7,000円)の減額となっている。

年金だけに頼らない老後計画を。

今、年金受給者の内およそ600〜700万もの人々が、生活保護の基準以下で暮らしているともいわれる。現在ですら、公的年金だけでは通常の生活費も賄えていない状況。今回の改革によって、高齢者世帯の家計はますます厳しいものとなることが予想される。これからの時代は、老後も年金だけに頼るのではなく、第二・第三の収入源を確保することが重要となるだろう。

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